馴染みのない方へのレゲエのすすめ その5 -邦楽編-
これまで4回にわたって、ジャマイカのアーティストを中心に、レゲエというジャンルに馴染みのない方に向けて私なりに紹介してきました。今回は、日本の曲を少し紹介します。
日本のレゲエは、よく「ジャパレゲ」と呼ばれたりしますが、ダンスホールレゲエやソカのようなカリブ海の音楽を中心に、ヒップホップ、J-Popなどとも混ざった日本独自の流れだと思います。今回はその中から、私がジャマイカンレゲエと同じ方向性で好きな曲をちょびっと紹介します。ジャパレゲ初心者に向けておすすめできる選曲で行きます。
まずはこの曲。曲の冒頭で産声を上げた「私」の人生を、順を追って振り返る、物語性のある内容の歌です。ゆっくりとしたステッパーズのビートに乗せて、ベースやオルガン、ブラスの垢ぬけた音色が暖かい雰囲気を作っています。Fire Ballの4人の、それぞれ個性ある歌声やコーラスが心に沁みます。おじさんのカッコ良さがあります。名曲中の名曲だと思います。MVで歌っている場所は横浜マリンタワーです。レゲエと言ったら横浜や湘南というイメージの方もいるかもしれません。この曲の入ったFire Ballのベストアルバムがとりあえずおすすめです。
いい感じにバウンスしたワンドロップの心地よいリズムです。そしてPUSHIMの歌唱力ある歌声。この人の曲は、こういう落ち着いた雰囲気のものが沢山あっておすすめです。とりあえずベストアルバムを借りてみたください。在日韓国人で(プシンは本名)、日本を良くしたいけど選挙権が無いみたいな葛藤を歌っている曲とかもあります。
JING TENGも綺麗な歌声の歌手です。この人の曲は、これらの曲でも表れている独特の空気があります。この雰囲気が気に入った方は、是非アルバムを手に取ってみてください。
この曲を歌う三木道三は、昔「一生一緒にいてくれや」の曲でブレイクした人です。交通事故の後遺症で寝たきりになっていたらしく、暫く表立った活動はありませんでしたが、最近はDozan11に改名して活動をしています。この人の言葉遣いは、宗教的な匂いも少し感じるほど独特です。今はおじさんの落ち着いたカッコよさもあって良いです。
この人はダミ声が特徴のDeeJayです。こういうダミ声がレゲエっぽいと感じる方もいるかもしれません。この人のダミ声は比較的聞きやすいと思います。この歌は「生と死」がテーマで、不慮の事故で亡くなった友人のアーティストに捧ぐ歌でもあります(動画説明参照)。この人のフロウ、特に韻の踏み方や言葉のセンスはピカイチだと思います。とりあえずベストアルバムを(笑)。
レゲエの楽しみ方のひとつがコラボです。この曲では4人の歌い手が代わる代わる歌っていきます。同じRiddimの上でそれぞれが自分のフロウを発揮して曲がどんどん変化していくのが面白いです。Home Grownは日本の代表的なレゲエバンドのひとつです。冒頭で「はいさーい」と言っているI-VANは沖縄のアーティストです。沖縄=南国=レゲエは相性が良く、沖縄のアーティストもよく見かけます。
三線の音色がレゲエのリズムにうまくマッチし、沖縄の問題にも触れつつ日々の平和を願う市民目線の歌。正に「沖縄レゲエ」のアンセムだと思います。「オスプレイ」とか生々しい単語が出てくるとドキッとしますよね。レゲエを聴くと、曲の始めに歌い手のひとりが自分たちの名前やその曲のテーマなどを述べて署名することがよくありますね。
日本のレゲエ曲を漁っていると、度々ジャマイカの過去の名曲をリスペクトしたRiddimに出会います。あるいはジャマイカの曲を漁っていたら、これ日本のあの曲の元ネタか、という発見があったり。ほぼ完全に再現したものや、ベースやギターのフレーズのみ借用したものなど程度は様々ですが、そういった曲を原曲と聞き比べたりするのも楽しみです。例えば、次の曲は、この一連の記事「馴染みのない方へのレゲエのすすめ」内で紹介した曲のどれかをリスペクトしているのですが、それぞれどの曲か分かりますか?
最後に大学の講義の出席確認テスト的な問題を出したところで、この記事を終わります。この一連の記事を読んでくださった方は、だいぶレゲエの雰囲気が(私のフィルターを通ったものではありますが)分かってきたと思います。お付き合いいただきありがとうございました。